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おてらからのおたより  -平成26年1月ー

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  ともに新年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。 いよいよ今年は、『五重相伝会(ごじゅうそうでんえ)』が開催されます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。   空 腹 は 恐 怖  以前、ラジオで耳にした干ばつや紛争によって飢餓状態にある人々への募金を呼びかける言葉です。食べ物がない、食べられないという恐怖なのか?食べ物を手に入れるためには、何をしでかすか分からないという恐怖なのか?長年、頭から離れなかった「空腹は恐怖」ということを、東日本大震災に遭い、多少なりとも経験することになりました。  私の実家のある石巻市では、震災後まったく食べ物がなく、三日目にして初めて配給されたのは、たった一枚のクラッカーだったといいます。実はこの一枚のクラッカーも、一人に一枚配られたのではなく、一家族に対して一枚。近くの中学校に避難していた私の兄は、この一枚のクラッカーを家族五人で分けて食べたと聞きました。 空腹を紛らわそうと、蛇口をひねっても水も出ず、二日間を五〇〇㎖のペットボトルの水一本で過ごさなければならない状況。 喉の渇きや空腹にさいなまれる多くの人が食べ物や飲み物を探し求めました。   震災より人災のほうが・・・  石巻市でコンビニを経営する幼なじみは、 「津波による被害より、津波が去った後の被害の方が大きかったよ。私がいようが誰がいようが、口に入れられる物や日用品だけじゃなく、ありとあらゆる商品を片っ端から持っていかれたよ。」そう言ってうなだれていました。 彼女が大変な苦労と借金を背負って、ようやくこのコンビニを開店し、女手一つで二人の子供を育てている姿を見ているせいか、腹が立つのと同時に、故郷の人々がこんな事をするのかと、悲しい気持ちにもなりました。   あなたなら・・・?  やるせない気持ちを引きずったままの私は、同じ石巻に住むIさんにその思いをはき出しました。人柄の良さから誰からも愛されるIさんは、私も特に信頼を寄せる方。Iさんなら、私の思いをくみ取ってくれるだろうと思い話しましたが、Iさんの口からでたのは予想外の言葉でした。 「お尚さん、その店じゃないけれど、俺も貰ったよ。生きていく為に…。だって親だから、子供に何か食べさせなきゃないでしょ。だから、俺も貰ってきたんだよね。でも、もし、お尚さんの家族が今いる仙台