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1月のことば

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「新しき 年迎えては さらにまた      続けはげまん み名呼ぶ つとめ」 ナムアミダブツ 皆様が健やかな一年になりますよう心からお祈り申し上げます。本年も何卒よろしくお願いします。 コロナ禍にあって多くの新しい言葉が生まれました。そのような中で一番耳にしたのは、何と言っても『不要不急』だと思います。この『不要不急』という言葉の意味を調べると「する必要もなく、また急ぐ必要もないこと。とりわけ重要でもない用事などについていう」とありました。「する必要も急ぐ必要もなく、重要かどうか」なものは人それぞれですが、葬儀や信仰も不要不急と捉えてしまった方が増えてきたように感じます。 近頃「葬儀は家族葬で行った」と話される方が多くいます。抑々、この『家族葬』は、家族や親族のみの「小規模な葬儀」を言いましたが、昨今では、宗教を一切排除した所謂「お別れ会」を意味する言葉に変化しました。 隣人の顔さえ知らないことが珍しくない時代に、仏教や寺と縁を持たず、仏の救いや教えを信じられない人にとっての死は全ての終着点でしかなく、葬儀という次への乗り換え地点は、「する必要も急ぐ必要もなく、とりわけ重要でないもの」なのかもしれません。 関東にお住いのOさんご夫婦は、いつも穏やかなご主人とにこやかな奥様の仲睦まじいご夫婦で、毎年お盆の供養にお揃いでお参りされていました。いつの頃か体調を崩されお参りが出来なくなってしまいましたが、毎年、手紙と共にご先祖の供養を依頼されるほど信仰心の篤いご夫婦でした。 一昨年の夏、久しぶりにご主人の声を聞くことが出来ましたが、その電話は奥様の容態と葬儀の相談のためのものでした。「緊急事態宣言下に、多数の感染者が出ている東京近郊に来てくれるのか」、「抑々きちんと見送ることが出来るのか」を心配されていましたが、どんな状況でも必ず参ると約束すると電話口のご主人は少しホッとされたようでした。 一進一退を繰り返し頑張ってこられた奥様でしたが、年の瀬になって悲しい知らせが届きました。連絡をくれた息子さんから、改めてお母様のことをお聞きすると、「私たち家族の不幸を全部一人で背負いこんでくれたような苦労の多かった母親でした」とのこと。あの微笑みの陰に多くのご苦労があったことを知りました。 葬儀の直前、施設にいるはずのご主人がお別れを言いに姿を見せました。棺に横たわる奥様に「有難う、有