6月のことば
「与えることは失うことではなく 心に豊かさをもたらす」 先日、地下鉄に乗っていた時の事。車内は混雑していて空いている席はありませんでした。何駅が過ぎ、とある駅で大きなベビーカーを押しながら 2 人の幼い兄弟を連れたお母さんが乗車してきました。 かつての我が家を見るようで、「お母さん、一人で大変だな」なんて眺めていたら、優先席に座っていたおじさん(おじいさん?)2人がサッと立ち上がり、そのお母さんと幼子たちを席に座らせました。1人の方は 2 つ先の駅で何事も無かったように下車し、もう1人の方は吊革に摑まりながら兄弟に話しかけ、2人はニコニコと微笑んでいます。 2人のおじさん達のとても手際よく、とても自然な行動を目にし、見ていた私も 心豊かになり 思わず笑顔になりました。 仏教者が心掛け実践すべきことの1つに布施行(ふせぎょう)があります。 布施は清らかな心で他者に施しをすることですが、施すものは物質的な財物だけではありません。 無財の七施と言って財物が無くても他者に布施を為すことのできる七つの行いがあります。 ①眼施(げんせ)相手を憎むことなく、好ましい眼差しで接する事。 ②和顔悦色施(わげんえつじきせ)和やかな喜びの顔つきで接する事。 ③言辞施(ごんじせ)相手に柔らかい思いやりのある言葉を掛ける事。 ④身施(しんせ)相手を敬い、我が身を惜しむことなく、他に尽くしていく事。 ⑤心施(しんせ)善い心で相手の立場にたち心を掛けていく事。 ⑥床座施(しょうざせ)相手に座席を設けたり、譲ったりする事。 ⑦房舎施(ぼうしゃせ)自分の家を一夜の宿として提供する事。 できること、できないことがあるにせよ、 せめて柔らかな眼差しで人に接したいものですね。