1月のことば

 

「至誠心というは真実心なり

  真実というは 内にむなしくして

   外には飾る心なきを申すなり」 

               ー法然上人ー                 

ナムアミダブツ 皆様がお念仏ともに健やかな一年になりますよう心からお祈り申し上げます。本年も何卒よろしくお願いします。

コロナ禍と相まって、葬儀や法事の形もだいぶ様変わりしてきました。葬儀の際には、葬儀社さんが何から何までしてくれるので、親戚や近所の経験豊富な“先輩”から教えられ実践する機会もめっきり減ってしまいました。

当山では、法事をする際のお供えに「団子」を10個用意してもらいます。それは、亡くなった人や仏様に対し、一番上等なものをお供えするという習わしに則っているのです。「団子が一番上等なもの?」と思われるかもしれませんが、食べ物が無かった時代の上等なものと言えば「お米」であり、更にそのお米を加工して作った団子や餅は、特に一番上等なものだったのです。今となっては一番上等なものではないかもしれませんが、一番上等なものをお供えするという精神だけは大切にしていただきたく、今も法事の際には、団子を用意してもらっています。

昨年、杖をつきながら義兄と実父の法事に参列されたOさん。参列することも危ぶまれていたOさんは、お父さんを亡くされた半年後、突然病に倒れ、一時は生死の境を彷徨われました。しかし、学生時代、体を鍛えに鍛えていたことが功を奏したのか、強靭な精神力が幸いしたのか、まさに九死に一生を得て奇跡的に生還されたのでした。

生還出来たけれども、当初は生涯車いす生活を余儀なくされると覚悟をしなければいけない状況でした。しかし辛く厳しい懸命なリハビリを重ねられ、奥さんの手を借りながらも自らの足で歩を進め、亡きお二人に焼香なさいました。そのお姿に思わず目頭が熱くなりました。

帰り際、Oさんは「渡したいものがある」と、自家用車に積んであった沢山のお菓子をお持ちになられました。それは「何かお役に立ちたい」と思い立たれ、慈恩寺でも協力しているひとり親支援の団体である「おてらおやつクラブ」の活動に役立てて欲しいと願われてのことでした。自分のことだけでも精一杯の筈なのに、会うこともない誰かの為にと
の清らかで尊い想いに、心が洗われました。

法然上人のお言葉に、「至誠心(しじょうしん)というは真実心なり。真実というは、内には虚しくして、外には飾る心なきを申すなり」とあります。「お念仏は至誠心という真実の心で称えるのですよ。真実とは、身の振舞いにおいても、言葉を口にする時も、心に思う時も、嘘偽りのないまことの心を忘れずに、ということです。」と仰っています。

たとえ姿や形は見えなくとも、「居ますが如く」心を籠め、清らかな心で日々お念仏をお称えください。


健やかな一年になるようお祈りいたします。         合掌



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