おてらからのおたより  ―平成29年4月のことばー

 「一声も 捨てぬ誓いの うれしさに 思わず積もる 弥陀のかずかず」」

まだ寒さが厳しかった年度末のある日。娘の大学受験の付き添いで首都圏に行きました。ベストな状態で試験に臨めるようにと前乗りし、ホテルから受験会場までの道のりも確認しておきました。試験当日、娘は多少の緊張はあったものの割とリラックスして受験に向かったのに対し、予想外だったのが受験する訳でもない私の心情でした。柄にもなく緊張したのか、電車の中で突然お腹がゴロゴロいいだして、予定にはない途中下車をし、何とか事なきを得ました。

お腹も落ち着き、再び乗った電車に揺られながら、ふと30年前の自分自身の大学受験の時の事を思い出し、きっと、あの時の両親も、こんな思いだったのかと気付かされました。親は子供の行く末や体のことを案じて、勉強しなさい!早く寝なさい!などと心配するけれども、言われた当人は有難いとは受け止められず、うるさく感じたり、反抗したりすることもあるでしょう。それでも親は、子を見捨てることなく見守り続けます。

阿弥陀様は私達の親や先祖ではありませんが、阿弥陀様の私達に対する想いも、親が子を案ずる想いと似ているのではないでしょうか。欲をかいたり腹を立てたりと悪業を止めることが出来ない私達。このような私達の行く末を案じて、阿弥陀様はナムアミダブツと称えるだけで極楽浄土へとお救いくださる道をご用意していただきました。それに引き換え、私のお念仏はいかがであろうか?いつも私を案じていてくださる阿弥陀様に真心込めてお念仏を称えているだろうか?決して見捨てることなく阿弥陀様はあたたかな眼差しで見守っていてくださいます。

新年度が始まりました。ご自宅の仏壇、寺の本堂、街角のお地蔵様…、気持ちも新たにお念仏をお称えしてまいりましょう。合掌

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