おてらからのおたより  ―平成26年11月のことばー

 「尊い命 尊い今日」

 朝夕の冷え込みに冬の気配がします。気温はどんどん寒くなるのにもかかわらず、雑草はにょきにょきと出てきます。この間、綺麗にしたばかりなのに、との思いもしますが、こんなところに生えてこなければ抜かれることも無かったのにと、申し訳ない思いで抜く時もあります。どちらにせよ草の命を抜いていることに違いはなく、「ミミズだって、オケラだって、アメンボだって、みんなみんな生きているんだ~」の歌詞が浮かびます。

この『手のひらを太陽に』を作詞したのは、アンパンマンの作者・やなせたかしさんですが、その歌詞には、

「僕らはみんな生きている、生きているから歌うんだ。僕らはみんな生きている、生きているから悲しいんだ」とあります。「なぜ生きているから悲しいんですか?」とよく質問されたやなせさんは、「悲しむことが出来るのは、生きているからなんだ。生きているからには傷つくことも多い。それを乗り越えた時は嬉しくなる。悲しみと喜びはウラとオモテ。悲しみがなければ喜びもない。不幸な時にはじめて幸福のことが分かる」と、答えていたそうです。

昨年、94歳で亡くなられたやなせさん。最晩年には「まだ死にたくねぇよ。面白いところにきたのに。俺はなんで死ななくちゃいけないんだ」と世の無常を嘆いておられました。生きているから悲しい、苦しい。でも、いま生きているから称えられるお念佛を共々にお称えしましょう。               合掌

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