おてらからのおたより  ―平成29年2月のことばー

 「全世界を知るは易く、おのれを知るは難い」

昨年の11月のある日曜日、相模湾沿岸の地域に出張しました。東京駅から乗った東海道線の車内は穏やかな陽気に誘われ、様々な人が乗っています。多くの人が携帯電話の画面とにらめっこしていますが、楽しそうに話す親子の姿や、ピアノの発表会に行くのか綺麗な衣装を着て緊張した面持ちの子供とお母さんの姿があったり、休日出勤のサラリーマンの姿や若いカップルの姿も見受けられます。

丁度、このカップルの隣で、小さな鏡を見ながら化粧をする若い女性を見かけました。今では珍しくない光景ですが、一つ気付いたことがありました。それは、この女性は、私をはじめ電車に乗っている人やすれ違う人にはどんな風に見られても関係ないということです。もしかすると、この女性は隣のカップルのように、これから彼と会うのかもしれませんし、彼ではなくとも、これから会う人に出来るだけ自分を可愛らしく美しく見られたいと化粧しているのでしょうが、それ以外の人には、どう見られても全く気にしないのだと驚かされました。

人の事は良く見えますが、でも、私の心の中はどうでしょう。我が身を振り返ってみれば、私の考えと違うから、この人は嫌だなぁと自分本位になってはいないか。人のことを謗ってはいないか、妬んではいないか。自分に取って都合の良い人だけに良く見られようと心に化粧をしているだけだと気付かされます。

阿弥陀様や仏様方、先立たれた方々は、こんな私達を見守っていてくださいます。

阿弥陀様や先立たれた大切な方々が悲しまれないような日暮しをおくり、こんな私達であってもお救いくださる唯一の仏様・阿弥陀様の御約束“ナムアミダブツ”のお念仏を大切にお称えしてまいりたいと思います。                         合掌

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