7月のことば

 


「まわりを照らす人になろう」



6月のとある夕方。カラスの鳴き声が騒がしく周囲を見回すと、道路の真ん中にうずくまる一羽のカラスがいた。親ガラスたちが、動けないでいる子ガラスに対し懸命に叫び続けていたのだ。

車の行き来の合間に歩道に誘導しようとしたが一歩も動くことが出来ず、その後、一台の車に接触してしまい最悪の状況を想像した。

しかし、同じように見守っていた一人の高校生が道路に駆け出し、倒れた子ガラスを両手に抱きかかえて安全な場所に助け出してくれた。

彼のとっさの行動と勇気に感動すら覚えた。

 

寺に連れ帰った子ガラスは、翌日には元気にカーカーと鳴き、だいぶ復調したように見え、怪我をした野生動物を保護する施設に引き取られていった。様子を見て山に放たれるという。

親ガラスとは離れ離れになってしまうが元気に大空を飛び回って欲しい。

 

いま思い返しても、脳裏にあの高校生の行動が写り、感動が蘇る。

誰かを照らすための行動を心掛けたいものだ。

それがたとえ僅かであっても。たとえ微かであっても。

(カラスのカータン)

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