12月のことば
「水に源あり 樹に根あり」
10月末、福島県の山深い地域において行われた慰霊法要に参列しました。
この法要は、福島県を流れる只見川上流に発電所を建設する際に亡くなられた方を慰霊する法要です。なぜ教誨師が慰霊法要を行うかというと、この電源開発作業の一端を担ったのが宮城刑務所の刑務官や受刑者であったからです。
戦後、国が復興の最重要課題としたのは電源開発の確保であり、この只見川開発工事は昭和26年より7年間に渡り、宮城刑務所からは刑務官25名、受刑者250名、延べ人員は675,921名が従事しました。
作業地は山深い難所というだけではなく、夏季には猛烈な暑さに苛まれ、冬季には氷点下20度もの厳しい寒さと3メートルを超える積雪に苦しめながらも、昭和33年11月30日、この大事業の完遂を見ることができました。しかし作業中の事故により、3名の刑務官、7名の受刑者が亡くなられたのです。
スイッチを入れれば当たり前に部屋が明るくなり、暑さも寒さも凌げる。何不自由ない生活の源には、見ず知らずの方々の恩恵がある事を知らなければなりません。
「水に源あり 樹に根あり」
お念仏によるお救いも、阿弥陀様が仏(如来)となって〝我が名を呼ぶ者を必ず救い摂る〟というお誓いと艱難辛苦の難行苦行の末に、いま私たちの前にあることを忘れてはなりません。
年末の忙しい時期。こんな時こそ、〝源をおもい、根を見つめ〟心を込めてお念仏をお称えしましょう。 合掌


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