11月のことば
「わかちあうと 幸せはふくらむ」 今年もあと 2 か月。 11 月は年末とまで云わないまでも、なにか気忙しい気がしますね。 時間に追われ、知らず知らずのうちに気持ちの余裕も無くなっていることも多くあります。夜空の星を眺めたり、手を洗ってみたり、すぐに実行出来る心の中の空気の入れ替えをしてみませんか。 先日、よく利用するエレベーターでのこと。 用を終え、先にエレベーター内に乗り込んだ私。目の前のお婆ちゃんがゆっくりゆっくりと靴を履いています。普段なら、急かすのも迷惑だろうとドアを閉めて先に降りてしまうのですが、この日は待っていようと、「開」のボタンを押したままでお婆ちゃんを待ちました。時間にして 30 秒ほどだったでしょうか。ようやく靴を履いたお婆ちゃんが振り向くと、ドアを開けて待っていた私に驚かれました。「あらっ」と急いでエレベーター内に乗り込んできたお婆ちゃんは、エレベーターが来たことに気付いていたけれど、待たせるのが悪いから、わざとゆっくりと靴を履き、おまけに自分が気づいていないふりまでしていたとのこと。 そんな気を遣う必要もないのにと話す私に「やさしいのね、あなたのやさしさがとても嬉しいわ」との言葉を掛けてくれました。私は「こちらこそ、有り難うございます」と伝え、その場を後にしました。 高々 30 秒待っただけで、このお婆ちゃんから心が豊かになる感謝の言葉と素敵な笑顔の施しをいただきました。この施しを仏教では「和顔愛語(わげんあいご)」と言います。 人の顔は、その人の内面がつくると言います。 わずかなこと、いや微かなことであったとしても、和顔愛語を心掛ける 11 月にしませんか。